愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 だが、誉は平然としていた。
 
「ええ。俺が出版社に情報を流しました」
 
「なんていうことをしてくれたんだ!わしの顔に泥を塗る気か!」

 会長が怒りに震えながら、誉に向かって杖を振り上げる。

 その杖を右手で受け止めると、誉は会長を見据えた。

「感謝して欲しいですね。このまま伊集院議員と手を組めば、あなたの大事な有栖川コーポレーションは相当ダメージを受けてましたよ」 

「お前は人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!この面汚しが!」

「面汚しで結構。3万人もの社員が路頭に迷わずにすんだんですから。議員は近いうちに立件されるでしょう。そうなれば、あなたにとって利用価値はない。見合いは諦めて下さい。そもそも契約違反ですよ。次に俺との契約を破るような事があれば、俺があなたを潰します。どんな手段を使ってもね」

 誉は冷ややかな眼差しで会長を睨みつけた。
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