愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「これ以上彼に危害を加えるようなら、暴行罪で訴えますよ」

 ちょうど出社してきたのか、今度は西島さんが会長の杖を掴んで誉の前に立つ。

「これで気が済んだでしょう?お帰り下さい。僕の弁護士はかなり手強いですよ」

 誉は叩かれた右肩を押さえながらも、フッと微笑する。

 どうやら奴はわざと叩かれたらしい。

 誉はもう話すことはないと言わんばかりに、会長に背を向けて私達のところに戻ってくる。

 その時、成宮が誉に声をかけた。

「こんな真似をしてただですむとは思わないで下さいね」

「警告感謝するよ。だが、俺もお前が伊集院の娘に瑠璃の話をした事は忘れない。転職先、早く見つけた方がいい」
 
 誉が立ち止まって、成宮の方を振り返った。

「アドバイスありがとうございます」

 成宮は軽く頭を下げると、まだ怒りが収まらない会長を連れて本社に戻った。
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