大っ嫌いなアイツに恋をした。
◆抑えきれない想い
「昨日の18時過ぎ、南町の歩道橋周辺で本校1年の女子生徒が男に付きまとわれるという被害が起こった。その男は数名、黒いワゴン車で逃走。学校も警察も厳重に警戒体制をとっているがくれぐれも注意すること」
流れ星を見た次の日、呼び出された体育館で全校集会。
いきなりのことで生徒たちはざわめく。
1年生の女の子は自宅待機になったらしい。
昨日のパトカーの音はこの事件が原因だったんだ…
南町の歩道橋周辺って、帰り道の近くじゃん。
他人事だと思ってたけど不審者が出てるって本当だったんだ。
「ワゴン車のナンバーまだ確定してないらしいよ」
「えぇ〜超怖いんですけど〜ヤダ〜あたし絶対狙われる〜」
教室に戻っても今朝の集会の話で持ちきりだ。
「愛美っ、昨日ちゃんと帰れた?」
気になって愛美の席まで行くと相変わらずそうだった。
「うん。大丈夫よ!美優も大丈夫だった?」
「う、うん……大丈夫…だったよ」
橘に送ってもらったから、なんて言えるわけなく誤魔化して笑う。
言ったらまたからかわれるに違いないから。