大っ嫌いなアイツに恋をした。
そう言えば、橘はあのときあたしに何を言おうとしたんだろうか。
『俺っ、笹原のこと…っ』
本当に何だったんだろ。
あの後、二人してパトカーの音がする方を走った。
警察が数人いてパトカーは確かに3台ほど止まっていた。
大勢の人が集まって何も見えないしわからなかったけどまさかうちの学校の子が被害にあってただなんて…
そう思うと、心が痛んだ。
「悠月ぃ〜怖いから送ってってよぉ〜」
「あたしも〜一緒に帰ってぇ?」
下校時になると橘の周りには大勢の女の子が群がっていた。
それに宮村まで巻き込まれて女の子たちに制服や腕を掴まれたり引っ張られたりと…大変そう。
「ああ、わかったから引っ張んな」
橘も被害のことがあってか、嫌そうな顔をしながらも女の子たちの対応をちゃんとしていた。
橘が女の子にベタベタされている所なんていつものことなのに何だかその光景を見ているのが…すごく辛い。
見なくたって、目立つから目に入るんだもん。