大っ嫌いなアイツに恋をした。
「……ちょっと黙れよ」
「何す……んっ」
突然顔を近づけたと思えば、橘は容易くあたしの唇を奪った。
抵抗しようとする手を橘は掴み自由をも奪う。
「ん…ひど、いよ…たちば、な」
強引なキスの合間に漏れる声。
だけど、力でねじ込むようなキスは止まらない。
「ヒドイ?……酷いのはどっちだよ」
息苦しくなって唇が離れると橘は呟くように言った。
「お前、俺の気持ちも無かったことにすんのかよ……」
橘は切ない瞳であたしを見つめる。
「……またからかってるんでしょ。冗談なんでしょ…?」
ウソだ。
橘があたしのことを好きだなんて…
「悪ぃけど、冗談にしてやれねぇわ」
あたしの肩に顔をうずめると掠れた低い声がした。