大っ嫌いなアイツに恋をした。
「……お前ってマジでバカ。鈍感女!
笹原のことに決まってんだろっ!俺はずっとお前のこと…っ」
至近距離で橘と視線がぶつかる。
あと少しで鼻先が触れてしまいそうなほどだ。
『おう、すげぇ好き』
笑顔で言ったその相手はあたしだったの?
そんなの、今更…知らないよ。
「お前、俺にここまで言わせて…俺の気持ちも無かったことにすんのかよ」
橘の瞳は強気なのにどこか切なかった。
そもそもあたしはどうして橘のこと"大っ嫌い"なんて思ったんだろう。
先輩にフられたとこをからかわれてムカついて殴って…
『最低っ!!あんたなんか大っ嫌いなんだから!』
資料室で助けてもらったあのとき、不覚にも惹かれて好きになってしまった。
だからだ。
からかわれてムカついて…大っ嫌いなんて。