大っ嫌いなアイツに恋をした。
◇近づいても届かない
【美優side】
今日は終業式。
朝から熱気のこもった体育館で校長の長い話を聞かされ教室に戻りHRで今日は終了。
明日から長い夏休みが始まる。
周りではどこに出かけようか、旅行行こうかとワクワクしているのに
あたしの心はどこか晴れないでいた。
そう、その原因はアイツ。
もう隠しようのない気持ちに素直になろうと思っていたのに。
「悠月ぃ〜海行こうよ〜!」
「あたしも〜!なんならさ、泊りで行かない?」
「おっ、いいなそれ。でも絶対うるせぇじゃんお前ら」
きゃっきゃと楽しそうな声が後ろから聞こえては不愉快になる。
うっさいな、向こうでやれよバカ。
あたしの後ろでは橘が大勢の女子に囲まれ楽しそうにしていた。
何なのよ本当。
ムカつく……