大っ嫌いなアイツに恋をした。



「あそこまで言わなくたって…」


膨れっ面で言うと宮村はハハッと笑う。

その笑みが何だか橘と似ていて不覚にもドキッとした。


仲良いから似るのかな…



「笹原、浴衣着ねぇんじゃなかった?」



いつの間にか隣で宮村と歩いていた。



「あ…ちょっと色々ありまして…」




「似合ってるよ。可愛いじゃん、意外と」


宮村はあたしを見つめて優しく笑った。


い、意外とってそこだけはいらないけど…

素直に嬉しかった。


「み、宮村もカッコいいよ…これじゃあ女の子がほっとかないよね」


宮村も浴衣を着ていて、チラッと見える腕なんか男らしくていいな…なんて


って、あたしは変態か!



あたしは上気した顔を冷ますようにうちわで必死に扇いだ。




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