大っ嫌いなアイツに恋をした。
どちらともなく唇を離す。
何これ、恥ずかしいよ……
恥ずかしくて俯いていると橘はフッと笑う。
「何照れてんの可愛い」
からかうように言う橘に体温が上昇していく。
「う、うるさいなっ!花火もうすぐあがるよ!見に行───」
橘の腕を引いて歩き出そうとすると
逆に、腕を引き寄せられ橘の腕の中に。
「もうちょい…このままで」
ドキドキ、と心拍数が上がっていく。
あたしもそっと大きな背中に手を回した。
「橘って、甘えん坊なんだね」
「う、うっせ、その口塞ぐぞバカ」
新しい橘見っけ。
こうやってもっと色んな橘を知りたい。
「ねぇ、たちば……」
ふと顔を上げた瞬間、盗むように唇を奪われる。
さっきのキスとは違い、深いものに変わっていく……
遠くから花火が打ち上がる音がしても
あたしたちは唇を離さなかったのだった。