大っ嫌いなアイツに恋をした。
「あ、ありがと……」
ぎこちない笑顔でみんなにお礼を言う。
何で付き合ったことがみんなにバレてるんだろ…
もしかして、橘が言いふらした…とか!?
「おっ!彼氏様の登場だあ〜!」
足立くんの大きな声に振り返ると、後ろのドアから橘が悠然と教室に入ってきた。
パッと橘と視線が交わる。
橘とはあの遊園地デート以来、部活の練習やらで予定が合わず会っていない。
部活はたまにハーフコートで隣になることはあったけど…恥ずかしくて声はかけれなかった。
"一緒に帰ろ?"なんて言えたらよかったのに。
久しぶりにちゃんと見る橘は何だか雰囲気が少し大人っぽくなっているような気がして……
「悠月〜見ないうちにまたカッコよくなっちゃったんじゃないの〜」
「つーか、色っぽくなったよね〜より変態になってんじゃないの〜」
ハハッと高い声で笑う女子たちに囲まれる橘。
橘に密着する女子たちの姿を見てあたしは慌てて視線を逸らした。