大っ嫌いなアイツに恋をした。
*
「あ〜!美優どこ行ってたの〜!?」
「へっ!?」
教室に戻ると、怪訝そうな愛美が飛び出してきた。
「もしかして、橘とイチャついてたわけ〜?」
「はっ!?そ、そんなこと、ないしっ!?」
へぇ〜?本当〜?と、怪しむ愛美の背中を押して席に座る。
「あ、そういえば!さっき永見先輩が教室に来たよ!美優に話があるっぽかったような…」
永見先輩…!
その名前を聞いて、あたしはドキッとした。
そういえば、音楽室で橘といるところを見られたんだった。
顔合わせ辛いな…
「ん〜?何〜?もしかして、まだ永見先輩のこと好きなの?」
からかうようにして言う愛美。
「そ、そんなわけないじゃん!今はちゃんと、橘が…好きだよ」
あたしはきっと、今も1年の時も永見先輩じゃなくて橘のことしか見ていなかったのかもしれない。