大っ嫌いなアイツに恋をした。






昼休み、あたしは愛美に促され永見先輩の教室に行った。


3年生の階なんて滅多に行かないからな…


教室の外からキョロキョロしていると、肩にポンっと手が乗った。



「わっ!?」



いきなりのことに驚いて振り向くと、笑いを堪えた永見先輩がいた。



「ぷっ、ごめん、ごめん!そんなに驚くとは思わなくて」



ハハッと笑う永見先輩にあたしも少し緊張がとける。



「あ、あの…話があると聞いたんですが…」




「ああ、本当に来てくれたんだ。俺に会うの悠月が許さないかと思ったよ」



場所変えよ?という永見先輩にあたしは後ろをついて行った。

橘が許さないかと思ったって…どういうこと?


橘が永見先輩のこと良く思ってないことはなんとなくわかってたけど…



永見先輩はあたしを体育館裏まで連れてくると振り返った。



この場所……


永見先輩はあたしの考えていることに気付いたのかフッと笑った。



「笹原がさ、4月にここで告白してくれたよな。珍しく、顔真っ赤にして」



そうだ、あたしは4月にこの体育館裏に先輩を呼んで思い切って告白したのだ。


そして、呆気なく振られてそれを橘に見られて……



< 306 / 415 >

この作品をシェア

pagetop