大っ嫌いなアイツに恋をした。
「……もう、おわり?」
あたしを見上げる橘は色っぽくて、その低い声にドキッとする。
これ以上は心臓がもたないってば〜!!
「こ、これが精一杯っていうか…」
「……じゃあ、俺がしてい?」
橘はそう目を細めて、あたしの後頭部に手を回した。
そして、ゆっくりと重なる唇。
ああ、やっぱり橘はキスが上手い。
あたしなんかより経験豊富で…色んな女の子と……
でも、今はあたしが彼女なんだから────。
そう思ってはいても、
『考えられないんだよね。悠月が笹原に本気だって』
永見先輩の言葉が脳裏にちらつく。
何でだろうね。
好きなのに怖くなる。
好きだから不安になる。
恋愛って、ただ単純に想い合って幸せだな…とかそんな感じだと思っていた。
でも、好きになればなるほど…周りが見れなくなって…不安になって…
こんな気持ちじゃ、ダメだってわかってるのに…