大っ嫌いなアイツに恋をした。
「そんな昔のことなんか忘れた。それより何の用だよ」
橘は冷たい眼差しを彼女に向ける。
「……その様子じゃ、まだ怒ってるの?あれはあたしが全部分かってて先輩に揺らいじゃったんだし…永見先輩は何も悪くないよ。でも悠月はあたしのこと大好きだったもんね〜」
セーラー服の女の子は橘に手を伸ばそうとする…
だけど…
「……そんな昔話するためにわざわざ来たわけ?あーそうそう、俺、今本気で付き合ってる子いるから」
橘はあたしの肩を抱き寄せ優しく微笑む。
ドキッと胸が高鳴って壊れてしまいそう。
何だ…あたしは何も不安になることなんかないんだ。
橘がこうやってちゃんと言ってくれるんだから…
「へぇ…そうなんだ。あの悠月がね……」
セーラー服の女の子はどこか遠い目をしていたが、あたしを見据えコロッと表情を変えた。
「あたし、天道くるみです。あなたは?」
ニコッとした笑みに、どこか違和感を感じてしまった。
「さ、笹原美優…です」
「美優ちゃんか〜可愛いね!あたしと悠月は中学からの仲なんだ〜」
天道くるみちゃんは嬉しそうにあたしの手を取る。