大っ嫌いなアイツに恋をした。
はぁ、とため息をついてグラウンドを眺める。
文化祭も近いので、体育館は部活では使えない。
バスケでもして気を紛らわせようと思ってたのにな…
「ため息ついてっと、幸せ逃げんぞ〜」
はぁ、ともう一度ため息をついたとき
目の前に宮村がやってきた。
「どーせ、悠月のことだろ?何やってんだかな〜アイツ。劇が嫌で逃げたんじゃねぇの」
なんて、宮村はハハッと笑う。
そういや、宮村も一緒に劇出るんだよね。
しかも…恋敵の役で。
「知らないよ、あんなヤツ。どうせサボってんでしょ…」
でも…本当は風邪とかで寝込んでたりして…
橘は絶対他の誰にも弱みなんて見せたくない!とか言い張って無理してるんじゃ……
「フッ、やっぱり気になる?」
「はっ、誰が!!飢え死にしてないか心配してるだけ!」
ウソ、本当は眠れないほど心配。
返事ぐらい返せよ、バカ。
「ふーん?じゃあ…一緒に様子見に行くか!」
宮村はニヤリと笑ってあたしの肩を軽く叩いた。