大っ嫌いなアイツに恋をした。




はぁ、とため息をついてグラウンドを眺める。


文化祭も近いので、体育館は部活では使えない。

バスケでもして気を紛らわせようと思ってたのにな…



「ため息ついてっと、幸せ逃げんぞ〜」



はぁ、ともう一度ため息をついたとき
目の前に宮村がやってきた。



「どーせ、悠月のことだろ?何やってんだかな〜アイツ。劇が嫌で逃げたんじゃねぇの」



なんて、宮村はハハッと笑う。


そういや、宮村も一緒に劇出るんだよね。

しかも…恋敵の役で。



「知らないよ、あんなヤツ。どうせサボってんでしょ…」



でも…本当は風邪とかで寝込んでたりして…


橘は絶対他の誰にも弱みなんて見せたくない!とか言い張って無理してるんじゃ……



「フッ、やっぱり気になる?」



「はっ、誰が!!飢え死にしてないか心配してるだけ!」



ウソ、本当は眠れないほど心配。

返事ぐらい返せよ、バカ。



「ふーん?じゃあ…一緒に様子見に行くか!」



宮村はニヤリと笑ってあたしの肩を軽く叩いた。




< 337 / 415 >

この作品をシェア

pagetop