大っ嫌いなアイツに恋をした。
◇誰よりも好きなのに…
【悠月side】
雨が降り続く中、俺はその場から動くことが出来なかった。
通行人は俺を一瞥して過ぎていく。
「悠月……お前、どういうつもりなわけ?」
和樹の口元は血が止まったものの痛々しい。
俺は何やってんだ。
頭に血が上って、和樹を殴ったりして…
『橘のそういうとこ大っ嫌いっ!』
まじで……何やってんだ俺は。
「あの女子、天道くるみだろ。本当にあの子が好きなのかよ」
和樹は俺に詰め寄る。
「返答次第じゃ、本気で笹原を奪う」
真剣な目をして言う和樹に正直、勝てないと思ってしまった。
「………俺が誰よりも本気で好きなのは、笹原に決まってんだろ…」
「……なら、何であんなこと言った!?」
和樹は俺の胸ぐらを掴んで眉間に皺を寄せる。