大っ嫌いなアイツに恋をした。
「いや、案外こっちのが似合ってるよ」
そんな声に振り返ると、宮村がいた。
「……え?な、何が…」
宮村はそっとあたしの頭の上に何かをのせる。
「ほら、可愛いじゃん」
無理やり鏡を向けさせられる。
鏡の中のあたしの頭にはキラキラなティアラがのっていた。
「や、あたしは…こんなの……」
「ブッ、普通に考えてみろ。笹原に抱っこされんの俺イヤだからな」
なんて、宮村は鏡越しにあたしに笑いかける。
「……でも、あたしなんか……」
あたしなんか、可愛いドレス似合わない。
美しくて、優しいなんて嘘だ。
あたしに一番合わない名前。
くるみちゃんみたいに……可愛い女の子だったら……
あたしだけを見てよ、なんて素直に言えたら……
橘はあたしのそばにいてくれた?