大っ嫌いなアイツに恋をした。




「そんな顔、すんな」



宮村はそっとあたしの頬を包む。



「べ、別に…悲しいとか…引きずったりしてな…」



「意地っ張りで、素直じゃねぇな……二人とも」


宮村は軽くあたしの頬を引っ張る。



「…ひゃっ!?」



「まあ、最後は俺が丸ごと引き取ってやるから…そんな顔すんな」



宮村はあたしの髪をクシャッとして行ってしまった。



ま、丸ごと…引き取ってやるから…って



いや、そんなわけない。

都合よく考えちゃダメだ。



「でも……辛いとき、そっと助けてくれるよね……」



何も言わないけど、いつもそばにいてくれて…


橘のことだって、宮村がいなきゃ勇気だして告白もできなかった……


宮村がいなきゃあたしは……



「宮村っ────!」



足早に教室を飛び出しし、まだ廊下にいた宮村の背中に叫ぶと、彼は振り返った。



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