大っ嫌いなアイツに恋をした。
「宮村から聞いたよ。あたしなんかよりくるみちゃんのそばにいてあげて。橘の選択は間違ってないよ。あたしはさ、ほら…強いから一人でも大丈夫!……もう、大丈夫だから」
笑え……笑うんだ、笹原美優。
「あんたなんかいなくたって平気だから。むしろ清々してるかも。恋愛なんて面倒なこと、あたしの性に合わないし?これでやっと解放された〜」
そう、平気だよ。
橘がいなくたって…あたしは……
「最後に、殴れば?そのつもりで呼んだんだろ」
橘は少し、自嘲気味に笑ってあたしの前に立った。
本当に…もう、終わっちゃうんだ。
あたしが素直に、そばにいてって言えば…
橘は嘘でも抱きしめてくれた?
────ううん、そんなこと……きっとない。
「……わかってんじゃん。ちゃんと歯、食いしばってよね…」
素直に目を閉じた橘。
振り上げた手を…本当は、本当は…
あたしはギュッと拳を握る。
本当はこの手で……抱きしめたいのに……