大っ嫌いなアイツに恋をした。
メイクさんって……誰かこき使われてるってこと?
何だか申し訳ないな……
大人しく鏡の前の椅子に座っていると、慌ただしく更衣室のドアが開いた。
「おっ、結構似合ってんじゃん」
なんて声がして、鏡越しで目が合ったのは……
「み、宮村っ!?…な、なんで…」
更衣室に入ってきたのは、王子の姿をした宮村だった。
さすが、本物の王子様みたい……
「なんでって、水沢がメイクしてやれって…」
えっ!?メイクさんって宮村だったの!?
「え、何あたしピエロみたいな化粧されんの!?」
白塗りにされて…変な顔に…
「はぁ?何言ってんの。俺一応、美容師の息子だから」
「……へ?そ、そうなの!?」
は、初耳だな……
そういえば、あたし宮村のことよく知らないかも…
「何だその顔…心配しなくてもちゃんとするっつーの!よく、姉貴にせがまれて化粧とかヘアメイクさせられるから、慣れてんの。ほら、前向け」
グッと頭を掴まれ前を向かされる。
ご、強引なメイクさんだこと……