大っ嫌いなアイツに恋をした。




少し強引ながらも宮村は丁寧に化粧を施していく。


化粧も髪型も綺麗に整った自分を鏡で見て
あたしは驚いた。



「宮村すごいね…あたしじゃないみたい…」



鏡の中のあたしは、まるで嘘でもお姫様のように見えた。


この姿、橘に見せたら……何て言うのかな?

似合わねぇよ、なんて…言うのかな…


アイツが何て言ったってもう、あたしには関係ないけどね…



「……ありがとね!宮村っ!こんな綺麗にしてもらって…」



勢いよく振り返って宮村を見つめると、彼はフッと笑った。



「……泣きそうな顔して、笑ってんなよ」



な、泣きそうな、顔?



「し、してないし!感動しただけだから…っ」



泣きそうな顔なんてしない。

もう、全て終わったことだ。


今更ウジウジなんてしない。



「別に、無理して明るくする必要ねぇよ。辛いなら辛いって言え、泣きたいなら泣けばいい。苦しいときは甘えたって誰も文句言わねぇよ」



宮村は優しく笑ってあたしの頭をポンポンと撫でる。


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