大っ嫌いなアイツに恋をした。
*
舞台に上がると、思ったより清々しかった。
全部、全部……宮村のおかげ。
相変わらず、宮村の王子様姿を見た女子たちは叫んでいたけれど劇は順調に進んでいく。
橘を好きだというこの気持ちが想い出になる日がいつか来るのだろうか…なんて漠然に考えてた。
でも、それも今日でおしまいだ。
今日で橘のことはさっぱり忘れる。
本当に……さよならだからな。
懐かしいね…なんて、思う日がいつか来るよね。
資料室で起こった事件も、告白をバカにされたのも、嫌々行った遊園地も……
不審者に怖くて動けなくなって…助けてくれたことも
夏祭り、あたしのために射的でぬいぐるみ取ってくれたことも…
やっと想いが通じあって…
人をこんなに好きになれるんだって…
初めて人を愛おしいと感じた。
全部、全部…想い出になって
過去になって……
いつか……橘は忘れてしまうの?
そんなの、そんなのやっぱり────
……イヤだよ…っ