大っ嫌いなアイツに恋をした。
「……姫?」
王子様の姿をした宮村があたし顔覗き込む。
そして、手を差し出した。
何が、イヤ、だよ。
もう、終わったことなのに。
もう、さよならなのに……
忘れなきゃ、忘れなきゃ───
宮村のこの手を取ったら……本当に忘れるんだから。
もう、本当に……バイバイ。
差し出された手に、自分の手を重ね合わせようとしたときだった。
「キャ────!!」
どこからか、そんな悲鳴に似た歓声がして
あたしは辺りを見渡した。
………どうして。
なぜか目の前には宮村と同じく王子様の姿をした橘がいた。
…ど、どうして……こんなとこに…
「……やっと見つけた、俺の姫」
橘はあたしの手をギュッと握りしめる。
え…?何?
こんなの台本じゃなかった…
慌てて宮村を見ると…
「……遅ぇよ、アホ」
なんて、やれやれと笑っている。
……え?何なの!?