大っ嫌いなアイツに恋をした。




「……そんなの、ずっと前から知ってる。ほら、さっさと連れ去れば?」



宮村は半ば呆れた様子だった。

それでもあたしと橘に笑顔を見せる。



「和樹…礼は言わねぇからな」



「……早く行け、アホ」




最後は優しく微笑んだ宮村はあたしだけにわかるように何かを言った。


"がんばれ"


彼は切な気な瞳を隠して微笑んだ。




「つーことで、行くぞ」



「……え?どこに…」



あっという間もなく、橘はあたしを軽々と横抱きにした。


お、お姫様抱っこ!?



体育館内は悲鳴で溢れかえる。



「な、何すんの!?まだ劇が…離してっ」



「もう、絶対離すかよ…」



たくさんの悲鳴の中、あたしは橘に抱っこされたまま体育館を後にした。




< 371 / 415 >

この作品をシェア

pagetop