大っ嫌いなアイツに恋をした。
シン──っと静まり返る教室に連れてきた橘はそっとあたしを降ろした。
夕日がカーテンの隙間から差し込み、あたしたちを照らす。
「上手く収まってるとでも思ってんの!?全く意味がわからないんだけど!!」
いきなり劇に乱入してきて…いったい何のつもり!?
「だから…お前を一生離さないように捕まえに来たんだよっ!そんぐらい分かれ!バカ」
……って、何であたしがキレられてんの!?
「あたしを捕まえにって……くるみちゃんは?橘はあたしじゃなくてくるみちゃんのそばにいるって決めたでしょ?」
あたしのそばにいれないって、はっきりその口で言ったじゃん……
あたしがどんな思いで…
「あ〜クソッ!この早とちり女っ!俺は確かにお前のそばにはいてやれねぇっつったけど、"今"はって言っただろ!」
な、何それ……
「くるみのことはちゃんと決着つけてきた。向こうもちゃんと納得してくれた。……でも、散々笹原のこと傷付けて悪かった。関係ないとか酷いこと言って……マジで、情けないヤツだよな俺は…」
本当だよ。
本当に……
「このバカっ、一発殴らせろっ!!」
本当に……許してあげない。
「……グーでも何でも、好きなだけ殴れよ」
橘はこの前と同様、素直に目を閉じた。