大っ嫌いなアイツに恋をした。



「……どうしよ」



あたしは深呼吸をして通話ボタンを押した。



「おい、お前今日の約束忘れてんじゃねぇよな?」



耳に低い声が流れる。



「ま、まさか〜!も、もうすぐ家でるから!じゃ、じゃあ!」



慌てて通話を切る。



「……どうしよ、やばい。」



今日は例の日曜日。


お前には身体で御恩してもらう。
なんて言われたあたしは今日、橘となぜかデート。

あのあと、何も言わず橘は帰ってしまったのだ。


「……何の拷問?」


完璧嫌がらせだよね……


それでも、あたしは約束を覚えていた。

いつもは休日なんかに目覚ましかけたりしないのに、きっちり目覚ましをセットしていた。


なのに!このザマです……


駅前に10時待ち合わせ。

あと30分もない。


遅刻することを考えたら……ゾッとした。



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