大っ嫌いなアイツに恋をした。
「……え?…あ、ち、違う、違うから…っ」
ハッとして、広げた手を元に戻すと橘は優しくあたしの手を掴んだ。
「はいはい、ちゃんと構ってやるよ。ほら、おいで?」
橘はイタズラにあたしを見つめる。
うっ……なんか、ズルい…
恥ずかしながらも橘のそばに寄ると、身体を引き寄せられた。
「ちょっ…!?」
「つーことで、俺ら行くわ。ガキは川で水遊びでもしとけよ?」
橘は陸に視線を送ると、陸はプイッとそっぽを向く。
そして橘はご機嫌そうに、あたしの肩を抱いて歩いた。
「これで勝ったと思ってんの?甘いよ………橘、センパイ」
陸はそんな二人を見て、静かに呟いた。