大っ嫌いなアイツに恋をした。
「美優センパーイ!今日は稽古来ないんすか?」
そう、窓から顔を出したのはうちの柔道場で習っている生徒の一人、あたしより一つ下の高校一年生の陸(リク)だ。
何とも可愛い後輩、なんだけど…たまに生意気だ。
「あ、うん。今日はちょっとね」
「え〜デートっすか?」
なんて、ニヤリと言う。
「へっ?違う!違うから!!」
「だって〜よかったな陸〜!!」
そのとき、ガヤガヤと後ろから生徒の声が聞こえてくる。
「ほら、だって美優センパイあんな格好でデート行かないでしょ!」
だよな〜なんてみんなが言う。
あんな格好……って
思わずあたしは自分の服装を見下ろす。
ちょっとラフすぎるかな。
確かに…これからデートって服装じゃないよね……
……って、デートじゃないからっ!!
そんなあたしは
みんなに見送られ駅まで走った。