大っ嫌いなアイツに恋をした。
「ハァ、よかった間に合った……」
駅前の時計台に着くと、ちょうど10時だった。
それにしても、この場所カップルが待ち合わせとかに使うスポットなんだよね…
さっきからカップルしか見ないよ…
こんなとこで待ち合わせってアイツは何を考えてるんだ。
浮くに決まってる!!
「…って、橘どこよ…まさか、アイツ遅刻!?」
人に散々言っときながら遅刻だなんて!
ボロクソに言ってやるんだからっ!
そう思いつつ、もしかして何かあったのかな……なんて少し心配になって橘の姿を探した。
すると、そのとき時計台の前で女子たちが群がっているのが目に入った。
「あのぉ、よかったら私とお茶でもいきませんかぁ?」
「いや、私といきましょうよぉ〜!楽しいトコいっぱい知ってますよ〜」
甘ったるい声にキャッキャとはしゃぐ女子たち。
……何事?
まあまあこの辺都会だし、芸能人でも来てるのかな…
その現場を遠くから眺めていると、茶髪の男が顔を見せた。