大っ嫌いなアイツに恋をした。



「おい、おいっ!起きろバカっ!」


いっつも授業中寝てるヤツに言われたくないよ。

そう、あたしの椅子を蹴ってくるのは一人しかいない。


なんだよ!もう!!


あたしはガハッと起き上がり振り向いた。


「……何よ」



「黒板写しといて」



橘はあたしにノートを押し付けたのだ。



「……は?」



どうしてあたしが……!


それぐらい自分でやんなよ!
ってか自分でやれ!

と、ノートを押し返そうとしたとき


先生が口を開いた。



「今日は15日だから、15番の笹原!黒板書きにきてくれ。」




……運が悪いのは連鎖するものなんでしょうか。


ど、どうしよ……あんな数字が連なってる公式分かるわけない。


そう、慌てていると手元のノートに目が入った。


それは橘のノート。


案外綺麗にまとまっているそのノートには、これからあたしが解くはずの問題が既に解かれて書いていた。


チラッと後ろを向くと、橘はフッと笑っている。


……え?

どういうこと……



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