大っ嫌いなアイツに恋をした。
笑いを必死に堪えるあたしとは反対に、橘の表情は暗かった。
「お前が倒れたとき、まじで焦った。気づいたら勝手に身体が動いてお前のことここに連れてきてた。」
不意に、橘と視線が混じり合う。
それはいつになく真剣であたしを捉えて離さない瞳だ。
そんな橘の瞳に耐えられなくなって逸らそうとしたとき、橘はあたしの手をギュッと握った。
ドキッと心臓が跳ねる。
「ちょ、何すんの…」
「…心配かけんなよ。お前が元気ねぇと俺まで元気なくなんの」
……何よそれ
心配って別に心配してもらわなくても。
いつもみたいにだせぇって笑えばいいのに。
散々バカにして貶すくせに、何優しくしちゃってんのよ……
そんなことしたってあたしは何も響かないよ。
そう、心では思ってるのに。
一度は好きになってしまったんだ。
いつもはイジワルだけどこの優しいところに惹かれたんだもん。
意識しない、なんて
出来ないよ。