大っ嫌いなアイツに恋をした。
橘はあたしの手を離そうとしない。
むしろ、さっきより強く握っている。
痛いよ、バカ。
耐えきれなくて俯いていると、橘はもう片方の手をあたしの額に置いた。
「……すげぇ熱いじゃん。」
……誰が熱上げてんのよ。
額に神経が集中したようで熱くなるのが自分でも分かる。
「朝だって本当はしんどかったんだろ。でも、無茶して学校来るなんてお前らしいけどな」
思わずフッと笑った橘に少し見惚れてしまった。
「……なあ、笹原」
その手が額から頬に伝っておりてきたとき白いカーテンがゆらりと揺れた。
そして、カーテンが開く。
「あら〜橘くん!来てたのね〜」
そう言って入って来たのは白衣を身にまとった夏川先生だ。
あたしたちは慌てて離れた。