大っ嫌いなアイツに恋をした。
見慣れた住宅街まで帰ってきた。
もうすぐ家に着く。
そういえば、橘の家ってどの辺なんだろ…
「……もう、ここでいいよ。あとちょっとだし」
「…は?あとちょっとなら家まで送らせろ」
なんて、橘はズカズカ歩いて行く。
待ってよ!それはちょっと…!
なんだかんだゆっくり帰っているうちに陽は沈んでいる。
もしかしたら、お父さんが家に帰ってるかもしれない。
過保護なお父さんだ。
家まで橘と行けば何を言われるか…….
「いいよ!橘、家帰るの遅くなっちゃうでしょ。あたしはもう大丈夫だから!」
「うるせぇな。もうここまで来てる時点で遅くなるのはわかってるっつーの!それとも何だよ、俺に家バレたくねぇから?」
ギロッと背の高い橘は上からあたしを見下ろす。
「いや、そういう訳では……」
そういう訳ではないんだけど……