大っ嫌いなアイツに恋をした。
「んだよ、俺が敬語も使えねぇ男だと思ってた?」
フッと笑った橘にあたしは横に首を振った。
「……そうじゃないよ。そうじゃなくて……あの、ありがと。お父さんのことも、送ってくれことも」
いつもの橘なら面白がって俺ら付き合ってるんすよ、とか言いそうなのに。
ちゃんと言ってくれたことに少し感動した。
……なのに、少し切ない気分になっている自分がいる。
それはきっと、ただのクラスメイトって言われたことだと思う。
あたしは橘が嫌いだし、最低なヤツだと思ってる。
でも、あたしは橘と話していて嫌だなんて思わないし……むしろ、あたしは…
「おい、バカ女!」
そんな声が聞こえてきて橘があたしに向かって何かをほり投げた。
橘が投げた小さな包みをあたしが何とかキャッチした。
「……もう、いきなり何よっ!」
「……お前にソレやるよ」
イジワルに面白そうに橘は笑った。