大っ嫌いなアイツに恋をした。
「あ、あなたには関係ないですっ!!」
って、この状況どうなのよ!?
どうして振られて早々、こんな男に迫られなきゃいけないの!
不安になって俯いているとぺちっとデコピンをされた。
「……っ!?」
顔をあげると今にも吹き出しそうな橘くんが目に入った。
「もしかして何か期待してた?ふっ、お前みたいな女っぽくねぇヤツに何もしねぇよ。バーカ」
“女っぽくない”
たった今、それでフられたのに。
また掘り返さなくていいじゃん。
あたしはなぜかカッとなって手を振り上げていた。
バシン────とこの静かな場所にその乾いた音は響いた。
「最低っ!!あんたなんて大っ嫌いなんだから!」
少しでも、少しでも……
“あの時”、好きだなんて思わなければよかった。
橘くんはこういうヤツだ。
あの時はあたしの勘違いだったみたい。
こうして歪な関係となったあたしと橘。
この日から橘は容赦無くあたしをからかってバカにするようになった。
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