大っ嫌いなアイツに恋をした。
◇アイツを好きになったキッカケ
トントントン────
ボールをつく音が体育館に響き渡る。
オレンジ色のボールが手に吸い付くようなこの感じ、何とも好きだ。
ディフェンスを抜けてレイアップシュート。
シュッと爽快な音を立てボールはリングに吸い込まれていった。
ううん、まだ全然ダメだ。
「もう一回お願いします!」
宮村にボールを渡しまた1対1スタート。
部活時間なんてとっくに終わって日が暮れようとしている。
それなのに宮村は何も言わず自主練に付き合ってくれていた。
「ごめん、もう一回!」
何度やっても納得のいかないオフェンス。
だけど宮村はあたしからボールを取り上げた。
「最終下校過ぎてっぞ。これ越えたら顧問うるせぇんだけど。……つーか、笹原お前病み上がりだろ。ちょっとは休憩しろ」
そう言った宮村はあたしにペットボトルを軽く投げ渡してきた。