お試しカノジョ


「そっかぁ、じゃあ脈アリかもしれないってことぉ?」

「脈…う、うーん」





ない、こともないと思うけど…。


難しい顔をするわたしに、楓くんはクスリと笑って提案した。





「じゃあさ、明日でもいつでもいいから冬樹も一緒に話し合いしよぉ?」

「伊藤くん…」

「そう!3人寄れば文殊の知恵って言うもんねぇ」





えへへ、と笑う楓くんは天使だ。


生まれてくる性別間違えてるんじゃないかと思うほど。


あ、でもそれじゃあわたしが困る、


やっぱり楓くんは男の子が良いな。





「夏子ちゃん、冬樹のこと好きになってくれるのかなぁ」

「それは伊藤くんの努力次第」

「だよねぇ!」





楽しそうにする楓くんを見ると、わたしまで楽しくなっちゃう。


でも、伊藤くんと3人で話し合いか…。


夏子にバレたら大変なことになりそう。



仲間外れにするって、どういうこと!?



とか言われて怒られそうだなぁ。






「歩美ちゃーん」

「なに?」

「僕、まだ歩美ちゃんとたくさん話したいからカフェにでも行かない?」





キラキラと大きな瞳を輝かせながら言われたら断る選択なんてできない。


もともと、楓くんのお願いを断る選択肢なんてないけど。

< 102 / 132 >

この作品をシェア

pagetop