お試しカノジョ


「録音ってどう?」

「ろ、録音?なんでぇ?」




わたしも楓くんも訳がわからない。


しかし伊藤くんは相変わらず楽しそう。


夏子も愛されてるなぁ。




「そこまでは…。なんかこう、録音してそれを突きつければ付き合えるかなと」




突きつければって…それ…。




「伊藤くん、それ脅迫」

「奇遇だね歩美ちゃん。僕も今それを思ったよ」




伊藤くんって、けっこう危ない?


脅迫…。


夏子は、あれで扱いやすいとこがあるし。


言葉巧みに誘導すればすぐ捕まえられるから…。




「録音ねぇ……夏子ちゃんが冬樹のこと好きって言ってるとこを録音するのぉ?」

「それが一番手っ取り早いんだよね」

「でも夏子がもし伊藤くんを好きでも、そう簡単に言わないよ」




シーン、と静まる。


< 113 / 132 >

この作品をシェア

pagetop