お試しカノジョ
「録音ってどう?」
「ろ、録音?なんでぇ?」
わたしも楓くんも訳がわからない。
しかし伊藤くんは相変わらず楽しそう。
夏子も愛されてるなぁ。
「そこまでは…。なんかこう、録音してそれを突きつければ付き合えるかなと」
突きつければって…それ…。
「伊藤くん、それ脅迫」
「奇遇だね歩美ちゃん。僕も今それを思ったよ」
伊藤くんって、けっこう危ない?
脅迫…。
夏子は、あれで扱いやすいとこがあるし。
言葉巧みに誘導すればすぐ捕まえられるから…。
「録音ねぇ……夏子ちゃんが冬樹のこと好きって言ってるとこを録音するのぉ?」
「それが一番手っ取り早いんだよね」
「でも夏子がもし伊藤くんを好きでも、そう簡単に言わないよ」
シーン、と静まる。