お試しカノジョ
「でも僕たちのお陰で夏子ちゃん素直になれたんだよぉ?」
「な、なによ」
「僕たちがなにもしなかったら、冬樹の本当のカノジョになれなかったと思うんだけどなぁ」
恩着せがましい!
「そう考えたらさ、僕と歩美ちゃんは恋のキューピットだよぉ?」
「ぐっ……」
「ツンデレも程々にしないと嫌われちゃうんだからねぇ」
「このッ……」
不本意だけど、非常に不本意だけど、核心を突いてるから何も言えない。
「大丈夫、俺はそういうツンツンしてるとこ嫌いじゃないから」
「伊藤くん……優しい」
「歩美ちゃん、浮気はだめだよぉ?それに冬樹はこう見えて案外腹黒いからぁ」
なんだろうか、この置いてけぼり感は。
私だけ仲間はずれみたいな。
私だけ除け者みたいな。
「あ……」
「歩美ちゃん?」
「バスの時間だ。そろそろ」
「そっかぁ、じゃあ僕たち帰るね!」
……ん?