お試しカノジョ
「はい、じゃあ言ってみよう」
「これから遠足に行く気分の小学生みたいよ…」
そんなワクワクしながら言わないで。
「冬樹だよ、冬樹」
「……私が呼ぶ義務はない」
「大有りだね。これからキスもできないようじゃ、俺が我慢できない」
欲求不満か!!
「キスってもうしたじゃない」
「あれはまだちゃんとしたカノジョになってないときでしょ」
ふふん、とドヤ顔で私の言葉の攻撃を避ける。
こいつ悪知恵だけはありそうだし。
「あーぁ、藤森さんはカレシを名前呼びなのになぁ」
「むっ」
「しかも付き合いたてであんなにイチャイチャできるなんて」
「ぅ……」
「夏子ちゃん、どんどん置いていかれちゃうね」
「っ………」
歩美に置いていかれる。
それは嫌だ!待って歩美!!
「くぅー…!」
そしてヘラ男の極め付けは。
「藤森さんとお揃いが良いでしょ?」