お試しカノジョ


「歩美、考え直さない?」

「何故」

「だってほら、女たらしで有名だよ?」

「付き合うとか考えてない。見てるだけだから」




だからそういうのは関係ないと?


だめ、だめだよ。


例え見ているだけでもいいと言っても、その折原という男が歩美の視界に入るだけで虫酸が走る。




「歩美ぃ」

「それに、その噂が本当かどうかわたしは知らない。もしかしたらなにか理由があるかもしれないし」




なんでそんなに庇うの…。


ていうか。


噂は本当に決まってんでしょ!


好きなら見たことあんじゃないの!?


折原が女を連れてるとこ!


私はよく見かけるけど!


男のくせにぶりっ子して、イライラした記憶がある。


少なくとも歩美だって見てるはず…。


それに、女たらしの理由てなに?


遊びたいから以外になにか理由があるとでも!?


天然もここまでいきすぎるとバカの部類に入るんだよ歩美!




「折原くん、今彼女いるし見てるだけのほうが幸せ…」

「ふ、ふうん?彼女って誰?」

「えーっとね……隣のクラスの…橋本さん?違う。高橋さん?」




人差し指を顎に当てて考える歩美に、そういえばと思い出す。


興味ないものにはとことん興味ない歩美。


可愛い折原くんは大好きだけど、その彼女さんまでには興味ないと。




「わかったよ、歩美」

「彼女さんの名前が?」

「いや、解決策が」

「主語がないと理解できない」



いいんだ、それで。


理解できなくて。


取り敢えずはあれでしょ?


歩美に折原の残念なところを見せたりすればいいんでしょ?



なら一番手っ取り早い方法がある。


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