お試しカノジョ
「却下」
「はあん!?1億歩譲って友達になってやってもいいって言ってんでしょ!」
「俺は友達じゃなくてカノジョになってほしいの。わかる?カノジョの意味わかる?」
「バカにしないで!そのくらい知ってるわ!」
1秒もせずに却下された私の策略…こほん、私の意見!
なんで!?こっちは友達が限界よ。
それ以上は鬱にでもなりそうだから、それこそ却下。
「もしかして、アレ?セフレとかいうやつになれってこと?おっええぇー!!キンモ!キモい!」
「意外と自意識過剰なんだね。あぁ、意外でもないか…」
「言っとくけど、男と目が合うことすら気持ち悪いんだから、触られるのなんて比にならないわ!」
歩美の父さん直伝の回し蹴りと踵落としをお見舞いしてやる!
私はこれでもかとヘラ男を睨むが、奴は気にすることなく相変わらず笑っている。
「セフレなら君みたいな面倒な子よりも、大人しくて言うこと聞いてくれる子にするよ」
「は、はあ!?」
「うーん。なんて言えばいいのかなあ」
上手い言葉が見つからないのか、悩んでいる。
なんっで私が、こんな奴と長々と会話なんか…!
いや、耐えるんだ。
これも全て歩美のため…。
歩美の父さんにも頼まれたんだから、歩美は私が守るのよ!
そのためにもこいつを駒にしないと。