お試しカノジョ


「それじゃあ私にメリットがないじゃん。絶対惚れないんだから」

「そうかな?」

「ヘラ男って頭悪い?バカ?普通そうでしょ」

「ヘラ男って俺のこと…?うーん、あだ名はもう少し名前に近いのがいいなあ」




全く傷ついていない表情でつらつらとそんなことを述べた。


こういうのをポーカーフェイスって言うんだよね。




「それに、お試しだろうがなんだろうがカノジョは無理だから」

「えー」

「私が男をどれだけ嫌いかわかってないでしょ、あんた。普通に喋るのだって嫌なのに」





今もね!


腕組みをしながら舌打ちした私にクスリと笑う。




「なによっ」

「付き合ったらその恐怖症治るかもよ?」

「きょ、恐怖症!?そんなんじゃない!」




男が怖いわけないじゃん!!


これはただの拒否反応であって、決して恐怖症なんかじゃない。


ムキになってそう伝えると、またしても笑われた。




「言い訳にしか聞こえないね。男の人が怖いからカノジョになれないってそう言ってるようにしか...」

「なっ!」




カァッと赤くなる顔。


ただし、これは照れているとか可愛いものではなく、怒りに狂って赤くなっただけである。
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