お試しカノジョ


歩美と会話をしながら教室に入ると、視界に入った人物に眉を寄せた。




「あ、西本さんおはよう」

「……ヘラ男」




口をへの字に曲げて、笑顔を私に振り撒くヘラ男を睨む。


しかし奴はそんな私を無視して歩美にも笑顔で話しかけた。




「藤森さんもおはよう」

「おはよ」




歩美の苗字をこのクソ野郎に言われたという嫌悪感。


思わず歩美を庇うように前に立つと、ヘラ男は席から離れてこっちに来た。




「西本さん、そこ入り口で邪魔になってるから中に入ろうか」

「最悪。ほんと最悪!」

「はははっ、怒った顔も可愛いね」




ムッカ!


爽やかに笑うヘラ男が腹立つ。


どんなに爽やか笑顔をしたって、どうせタラシなんだから!


重要なのは中身よ!見た目より中身よ!




「学校に来て2番目に喋ったのがお前ってほんと最悪!」

「俺、藤森さんの次?やったー」

「ウザい!!しかも棒読みキモい!」

「藤森さん、この子口が悪すぎるんだけど直してあげて?」

「え…」

「歩美に話しかけんなっ」




ガルル、と敵視する私にまたしても笑うヘラ男。


こいつの動作ひとつひとつ腹立つ。


ムカつく。


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