お試しカノジョ
「伊藤くん、そこに座るの?」
「だめかな?」
だめに決まってんでしょ。
一列になって食べるの?私の横に座って?
「じゃーさ、僕たちが並んで向い合えばいいんじゃない?」
「え…」
どちらかといえば高い声がしたと思ったら、私の横にいた歩美が離れた。
「初めましてぇ、折原楓でーす」
歩美にコツンと頭をくっつけてにっこりスマイルをした男の子。
折原楓。
歩美が惚れてる、タラシその2。
「ちょっと、歩美から離れて!」
「えぇー、やだ」
くっ…!
歩美も顔を赤くしないで!
「いいじゃーん。僕、こういう顔の子好きだからぁ」
そう言ってにっこり笑う折原は、やはりヘラ男の友達だと実感する。
軽い、ヘラヘラしてる!
ゆるくふわっとした茶髪に甘いフェイス。
もう6月だというのにセーターで萌え袖。
女子かよ、キモい。
その一言に限る。