お試しカノジョ
「誰?」
声のした方を振り返ると、見覚えのあるようなないような男子生徒。
きちんと制服を着こなしているが、茶髪のせいもあってか、チャラさ加減は抜けてない。
先程の男子生徒とは違って腰パンをしているわけでもなく、また顔も先程の男子生徒なんかより断然イケメンだった。
「ごめん、聞こえちゃった」
「....別に」
「西本さんが男を嫌いって結構有名なのにねー」
笑いながら机の上にカバンを置いたのを見る限り、同じクラスの人か。
名前、確か名前は_____
「俺のこと覚えてくれてる?」
「は?」
「入学して2ヵ月しか経ってないけど」
「知らない」
「そっかー、俺は知ってるのになぁ」
残念、とか言いつつもそれが微塵も顔に出てない男子生徒。
「冬樹」
突然 ふゆき 、と言った男に首を傾げる。