お試しカノジョ
「あっははは!!西本さん面白いねぇ!」
私を指差して笑う折原を無視し、ヘラ男の手を払い落とした。
「キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいーーー!おえーっ、おえええええっ!!」
「俺、精神力強くなりそう」
ぺっぺっ、と唾を吐き出す。
そして口の中に入ったモノも吐き出す。
うっわ、これブロッコリー?
噛まずに吐き出したので、まんまブロッコリーが飛び出た。
「きしょい!なんてことすんの!!」
「恋人ぽかったでしょ」
「冗談じゃないわっ。2度と気持ち悪いことしないで!歩美、もう行こう!」
立ち上がって歩美のほうを見ると、まだお弁当を食べている。
歩美には悪いけど、もうここには1分1秒たりともいたくない。
「でも…」
「歩美ぃ」
「…わかった。じゃあね、楓くん」
「えー、もうちょっと話したかったのにー」
私はギロっと折原を睨みつけた。
歩美も立って、教室へ戻ろうと足を進めた頃合いを見計らい、ヘラ男に向かって中指を突き出した。
「やっぱり西本さん、面白いや」