お試しカノジョ


「うわー…」




ヘラ男のスマホを覗き見ると、そこには長文のラブレターとは似ても似つかない文が書かれていた。




「あんた、女は選びなよ」

「初めて西本さんに優しくされちゃった」



だって、そりゃ。


そんな狂った文を送ってくる女の子の対応なんて…。


付き合ってくれないと冬樹を殺してあたしも死ぬ


っていう文章を見てしまったらそりゃあ誰だって言いたくなる。


さすがにその女とは付き合ってないみたいだけど。




「カノジョ気取りというか、面倒そうだったから手は出さなかったんだよね」

「ふうん」

「もしかして俺に興味出てきた?」

「なわけないでしょ」





即答して、ゲームを再開する。




「それなんのゲーム?」

「教える義理はない」

「またそれ。カノジョなんだから教えてくれてもいいじゃないか」

「嫌だ」

「頑固ほど面倒なものはないんだけどね」



と言いながら溜息を吐かれた。


なによ。だって本当に教える義理はないじゃん。


知ってどうするの?



「教えてくれないとチューしちゃうよ」

「パズモン」

「あ、それ俺もやってる」



こいつッ!
目が本気だった。


< 38 / 132 >

この作品をシェア

pagetop