お試しカノジョ


「あんたなんなの!?そんなに私の嫌なことして楽しい!?楽しいでしょうね!」

「夏子ちゃん?」





ギリッと唇を噛み締めて体を震わせる。


ついに目から水が溢れ出た。






「ちょっ!」

「あんたなんなの?本当になんなの?そんなに私が嫌いってこと?」






別に好かれたいなんて思ってないけど、嫌ってほしいなんてことも思ってない。


男に興味はないし、嫌われようが関係ないと思っていた。


でもヘラ男に嫌われているかもしれないということを考えたら、なぜか胸が痛んだ。






「結局そうじゃん!男なんてこれっぽっちも女の子のこと考えてない!」

「……」






ヘラ男は真剣な顔をし、黙って私の言葉に耳を傾けている。






「デリカシーがないしっ、女の子が傷つくことばっかりするし!!」






私はテーブルをバンッと叩き、ミルクティーの代金を置いた。






「自分勝手で、悪いとも思ってない!」






さっきのだって、ただの気まぐれなんでしょう。


キスしたらどんな反応するのかな、って程度で軽い気持ちでしたんでしょ。


私の嫌がる反応を見て楽しみたかったんでしょ。
















「もう2度と……っ、もう2度と私に近づかないでこのクソ男っ!!!!」


< 59 / 132 >

この作品をシェア

pagetop