お試しカノジョ
「あんたなんなの!?そんなに私の嫌なことして楽しい!?楽しいでしょうね!」
「夏子ちゃん?」
ギリッと唇を噛み締めて体を震わせる。
ついに目から水が溢れ出た。
「ちょっ!」
「あんたなんなの?本当になんなの?そんなに私が嫌いってこと?」
別に好かれたいなんて思ってないけど、嫌ってほしいなんてことも思ってない。
男に興味はないし、嫌われようが関係ないと思っていた。
でもヘラ男に嫌われているかもしれないということを考えたら、なぜか胸が痛んだ。
「結局そうじゃん!男なんてこれっぽっちも女の子のこと考えてない!」
「……」
ヘラ男は真剣な顔をし、黙って私の言葉に耳を傾けている。
「デリカシーがないしっ、女の子が傷つくことばっかりするし!!」
私はテーブルをバンッと叩き、ミルクティーの代金を置いた。
「自分勝手で、悪いとも思ってない!」
さっきのだって、ただの気まぐれなんでしょう。
キスしたらどんな反応するのかな、って程度で軽い気持ちでしたんでしょ。
私の嫌がる反応を見て楽しみたかったんでしょ。
「もう2度と……っ、もう2度と私に近づかないでこのクソ男っ!!!!」