お試しカノジョ
「俺けっこう西本さんには興味あったんだよね」
「いや知らないから私は興味ないから」
「試しに、ね?」
「ね?じゃねえよキモいんだよ。ゲロ出そうなんだよ」
もう吐きそう。
すぐそこまで出かかってる。
朝食べたパンやら目玉焼きやらが無残な姿に変身して出てきそう。
「女の子がそんな下品なこと言わないの。モテないよ?」
「私にモテ要素を求めてるんなら、いますぐその思考を取り去れ」
「んー、西本さんにそんなものを求めてはないかな。どちらかというと面白味を求めてる」
こ、このっ!なにこの人!
さっきからヘラヘラしてばっかりで、気持ち悪い!
顔が良い人って、中身がキモいの!?
「一回だけでいいからさ」
「よくない。お前みたいなヘラ男と付き合うくらいなら、ゴキブリと付き合うほうがマシよ」
「えー、汚ないよ」
「お前はその汚ないゴキブリ以下って言ってんの!」
それに、私この人の名前知ったのさっきだし!
1億歩譲って、私が真面目にこいつの告白を受けるかどうか考えるとしよう。
しかし!!
平然と、息をするのと大差ないようにサラッと付き合おうなんて言う奴だ。
どうせあちこちで女作ってる男なんだろうと思うのが筋。